研究課題/領域番号 |
07680662
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
三角 佳生 福岡大学, 医学部, 助教授 (10148877)
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研究分担者 |
藤原 俊幸 福岡大学, 医学部, 助手 (80190099)
相田 美和 福岡大学, 医学部, 助手 (20258528)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | ゴルジ装置 / 細胞質蛋白質 / cDNAクローニング / 免疫電顕 / 膜結合様式 |
研究概要 |
ヒト自己抗体はゴルジ装置の構造維持および機能にかかわる未知の蛋白質検索の強力な道具となる。我々はゴルジ装置に反応する自己抗体が認識する蛋白質として、GCP372(ラットGCP360)、GCP170およびGCP99のcDNAをヒト膵癌培養細胞cDNAライブラリーから単離し、一次構造を解析した。この結果、3種の蛋白質は比較的親水性であり、大きなCoiled-coilドメインををもつ棒状の構造をしていることが明らかになった。免疫電顕による観察の結果、これらの蛋白質は全てゴルジ装置細胞質側に存在し、GCP372はゴルジ装置層板に、GCP170はゴルジ装置トランスと細胞質に、GCP99はゴルジ装置シスに局在していた。GCP372はC-末端に疎水性ドメインで膜と結合しているが、GCP170、GCP99の一次構造には膜結合ドメインとなりうる疎水性領域は見いだせなかった。ヒト肝癌培養細胞HepG2を膜画分と細胞質画分に分けSDS-PAGE、immuno-blotにより解析すると、GCP372、GCP99は膜画分のみに、CP170は膜画分と細胞質画分の両方に見いだされた。HepG2細胞からミクロソーム分画を調製、GCP170、GCP99の膜結合様式を検討した。GCP170は1%TX100、1MNaCl、0.1MNa_2CO_3、処理で膜から抽出された。一方GCP99は1%TX100、1MNaCl、では膜から抽出されず、0.1MNa_2CO_3でほとんど膜から抽出された。TX114層分離では両蛋白質共、水槽に回収された。一次構造からの予想と、これらの結果からGCP170、GCP99は共にペリフェラルな膜蛋白質であることが示された。ゴルジ装置に細片化をひきおこす薬剤として良く知られているbreferdinA(BFA)をHepG2細胞に投与し、経時的に各蛋白質の細胞内分布を観察した。GCP170はBFA処理後2分でゴルジ装置から離れ始め、処理後5分で完全に解離して細胞質中に拡した。これはBFA高感受性ゴルジ装置局在蛋白質として知られているβ-COPと類似のBFA感受性であった。GCP170のBFA高感受性と細胞内分布から、本蛋白質がβ-COPを構成成分とするCOP coatmerの構成成分である可能性を、免疫電顕による二重染色法と抗β-COP抗体による共沈法により検討した。GCP170はCOP coatmerおよびCOP coated小胞とは細胞内局在が異なり、免疫沈降による共沈も見られなかった。一方GCP372、GCP99はBFAに対してより高い抵抗性を示し、ゴルジ装置からの解離は観察されなかった。これらのゴルジ装置局在蛋白質に加えて、我々は肝炎患者血清中に分子量230kDaの新しいゴルジ装置局在蛋白質を認識する自己抗体を見いだした。この蛋白質はGCP170同様膜と細胞質両方に存在しBFAに対しては中程度の感受性を示した。現在部分的なcDNAの単離に成功し完全長cDNAの単離を試みている。 構造上の共通点を持ちながら、ゴルジ装置上での異なった分布、薬剤に対する感受性の違いは、これらの蛋白質がゴルジ装置の構造維持に、または細胞内輸送の各段階において特異的な役割をになっていることを示唆する。
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