研究概要 |
真核生物のATP依存性プロテアーゼであるプロテアソームは非常に複雑な分子構成をもった多成分複合体であり、細胞内では不均一な分子集合体として解離会合システムを形成している。本年度において、ヒトプロテアソームの触媒ユニットを構成するサブユニットの全ての遺伝子のクローニングを完成し、触媒機能を司る基本ユニットが、αリングとβリング(各々7個のサブユニット群から構成)がαββαの順に会合し円筒型粒子を形成していることを明らかにした。この触媒ユニットの両端には二種の調節ユニットが会合する。一つは11Sの円錐型構造体でPA28レギュレーターと名付けられ、3種のファミリー蛋白質から構成されている。本年度、これらPA28レギュレーターの機能解析を行った結果、この11S-20Sプロテアソーム複合体はペプチド分解活性を強く増強するが、蛋白分解活性はないことが判明した。もう一つは22SのV字型構造体で、28-112kDaの多数のサブユニット群から構成されている。この22S-20Sプロテアソーム複合体は約200万のキャタピラ-型粒子で26Sプロテアソームと名付けられている。26Sプロテアソームはユビキチンに代表される特異的な分解シグナルを提示した標的蛋白質群を選択的に分解する真核生物のATP依存性プロテアーゼとして作用する。この22S調節ユニットは6種のATPase群と約15種のnon-ATPae群に大別でき、本年度の研究において我々は2種の新規なATPaseと10種のnon-ATPaSeサブユニットのcDNAクローニングに成功した。また、p31,p112及びp97と名付けたサブユニットについて、酵母の相同遺伝子(各々Ninlp,Sen3p及びNaslp)を用いた遺伝学的な機能解析研究を行った。その結果、26Sプロテアソームがユビキチン化蛋白質の選択的な分解に関与していることが判明した。そして、本酵素が細胞周期のGl/S期転移(DNAの複製)のみならずM期の進行(染色体分配)において必須な役割を担っていることを明らかにした。その他、プロテアソームが長い間不明であった内在性抗原のプロセッシング酵素として免疫始動制御に関与することも明らかになったが、それは我々のγ-IFNに応答する新しいサブユニット遺伝子の発見が基礎となった。これらの知見に基づいて、我々が提唱した免疫プロテアソームの免疫学的意義が現在、世界的に認知されつつある。
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