研究課題/領域番号 |
07680725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
植田 正 九州大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90184928)
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研究分担者 |
河野 敬一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10136492)
井本 泰治 九州大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90038282)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | NMR / リゾチーム / 分子運動 / オーダーパラメーター / 15Nラベル化 / 安定同位体 / NMR(核磁気共鳴法) / 安定同位体ラベル化 / Pichia / 核磁気共鳴法(NMR) / 大腸菌 / ゆらぎ |
研究概要 |
最近我々は活性クレフト部位からかなり離れて位置しているArg14His15を欠失した変異リゾチームのグリコールキチン活性が野生型のそれに比べて高くなっていることを見いだした。NMRを用いたTrp残基のH-D交換速度の解析から、この変異体の活性クレフト内に位置するTrp63のH-D交換速度が野生型のそれに比べ極端に速くなっていた。これらの結果は、活性の向上が活性クレフトの分子運動と関係していることを強く示唆したものである(Imoto et al,Protein Eng.1994)。そこで、活性の向上は活性クレフトの局所的な分子運動に起因するのか、全体的な分子運動に起因するのかを明確にすることを目的としてこの研究を行った。野生型及び変異型リゾチームをコードする遺伝子を酵母Pichia pastrisに導入し、^<15>Nの安定同位体を含む最小培地で培養し、均一に^<15>Nラベル化した野生型及び変異型リゾチームを1Lで10-20mg得た。これらの基質類似体存在下または非存在下で緩和時間、N-H間のオーバーハウザ-効果を測定した。これらの値を用いて、モデルフリーアナリシスにより、各残基の分子運動の基準となるオーダーパラメーターを算出した。変異リゾチームは基質存在下及び非存在下において、全体的にオーダーパラメータが小さい値を示した。この結果から、変異体における大きな分子運動は、単に活性クレフト内の局所的なものではなく、全体にわたっていることが明らかとなった。さらに、この時間スケールはマイクロからナノ秒単位の動きであり、酵素が基質と結合し、化学反応をする時間スケールであることも明らかとなった。即ち、この変異リゾチームの活性向上は、活性から遠く離れて位置しているArg14His15の欠失が分子全体の分子運動を高めていることが結論された。
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