研究課題/領域番号 |
07680729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
李 相男 福岡大学, 理学部, 助手 (40248472)
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研究分担者 |
井上 亨 福岡大学, 理学部, 教授 (50078599)
杉原 剛介 福岡大学, 理学部, 教授 (50090915)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 構造生化学 / 膜蛋白質 / 人工蛋白質 / イオンチャンネル / モルテングローブル / 生体膜 / 分子生物学 / ペプチド合成 / 脂質蛋白質相互作用 |
研究概要 |
膜蛋白質または膜に作用して生理活性を表す蛋白質の体液中から生体膜中へのトランスロケーションメカニズムは、未だ解決されるべき多くの問題を残す。特に、ある一定の高次構造を保った水溶性蛋白質が膜へ結合すると激しいコンホメーション変化を伴う場合が多い。近年そのコンホメーション変化は、膜の表面と体液中のpH差や膜内外の電位差などが要因となって体液中の高次構造が、膜表面に接触することによって二次構造(いわゆるモルテングローブル)に導かれ、露出された脂溶性部分が、膜中に挿入されることが指摘されている。 我々は、今回は天然蛋白質により近いモデル系として一つあるいは二つの脂溶性a-ヘリックスを数個の両親媒性ペプチドが取り囲むミニ超蛋白質をデザインして、蛋白質が体液中から生体膜中へトランスロケーションするメカニズムを解明することとした。 初期の目的のごとく、平成7年度において、超ミニ蛋白質のデザイン及び合成することができ、それをSGPと命名した。SGPは一つの脂溶性a-ヘリックスを取り囲む三つの両親媒性ペプチドの69残基からなるミニ蛋白質であり、次のシークエンスAc-AAAAAAWAAAA-GPNG-LYLKKKLLKKLLKLL-GNPG-LKLYKKLLKKLLLKL-GNPG-LLKLYKKLLKKLLKLLからなる。このものは、緩衝液中及び脂質膜存在下で円偏光二色性スペクトル(JASCO J-600型)の測定及び蛍光測定をした結果、バッファー中では脂溶性a-ヘリックスを中心にして3つの両親媒性a-ヘリックスがそれを取り囲んで、球状蛋白質の性質を示すことがわかった。さらにこのものは、平面膜中でイオンチャンネルを形成することが示された。このものの膜結合様式を。SGPのTrpの蛍光変化をラベル化リン脂質を用いて調べたところ脂溶性ヘリックスが膜中に取り込まれた。開いた傘状の構造をとっていることがわかった。チャンネルの性質とそれらを比較することによって、SGPは自発的に膜中に入り込み、膜内外の電位差によってチャンネルを形成し、膜の浸透性を変化させることがわかった。SGPは天然の細菌性膜作用蛋白質(コリシンやO-157毒)同様に、膜に作用することをしめす。このことは生理活性を表す蛋白質の体液中から生体膜中へのトランスロケーションメカニズムを探るモデルとして使用できることが分かる。
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