脳の発生初期に大量に発現するアクチン結合蛋白質ドレブリンを精製し、その生化学的解析を行ったところ、この精製過程において、やはり発生初期に大量に発現する54kDaのアクチン結合蛋白質を検出した。この蛋白質はイミュノブロットの結果脳ファシンと判明した。さらに、ファシンの活性がドレブリンによって制御されていた。 脳ファシンのアクチン線維結合能をアクチンとの共沈実験で調べたところファシンはアクチン線維にストイキオメトリー1:3、解離定数1x10^6Mで結合した。この結合はドレブリンによって阻害を受けた。さらに低速遠心法、電子顕微鏡法、及び蛍光標識アクチンを用いた蛍光顕微鏡法でアクチン束化活性を調べたところ、他のファシン同様脳ファシンもアクチン線維束化能を有していたが、この束化活性はドレブリンによって強く阻害を受けた。また蛍光抗体法でPC12細胞の成長円錐を調べたところ、ファシンがフィロポディア全体に、ドレブリンはフィロポディア基部にそれぞれ存在することがわかった。以上の結果から、ファシンがフィロポディアのアクチン構造に重要な役割を担っており、ドレブリンがそれを制御していると考えられる。
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