| 研究概要 |
アンドロゲンにより活性化された尿生殖洞間充織は前立腺誘導能がある.しかし,上皮に働くものは,アンドロゲンではなく,いろいろな成長因子であるとの仮説をもとに,本年度の研究が求められた.
1.前立腺芽誘導に効く成長因子の探索……多くの成長因子を雌雄胎児の尿生殖洞に与え,アンドロゲン非存在下にて培養したところ,EGF,TGFα,KGFが極めて強く前立腺芽を誘導した。HGF,aFGF,bFGFは無効であった.
2.アンドロゲンレセプター抑制下における前立腺芽誘導……アンドロゲンレセプター抑制剤CASODEX存在下においても,EGF,TGFα,KGFは尿生殖洞に前立腺芽を誘導した.すなわち,前立腺芽誘導に,アンドロゲンもアンドロゲンレセプターもともに不必要であることがわかった.
3.Tfmマウスにおける前立腺芽誘導……アンドロゲンレセプター欠如雄マウスの尿生殖洞をEGF,TGFα,KGFとともに培養したところ,前立腺芽が誘導され,この発見が確認された.
4.成長因子による細胞増殖の促進と前立腺芽形成……成長因子によりS期細胞核は増加し,とくに伸長しつつある前立腺芽全体に観察された.
5.前立腺形成時における成長因子mRNAの検出……アンドロゲン作用時に尿生殖洞間充織に出現する成長因子mRNAをin situ hydridization法により検出しつつある.
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