研究課題/領域番号 |
07680816
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小柳 清光 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (00134958)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / Bunina小体 / 脊髄 / 運動神経細胞 / 早期変化 |
研究概要 |
1979年から1982年まで私どもがグアム島で剖検した全175例中、臨床的にも神経病理学的にも、筋萎縮性側索硬化症(ALS)ともパーキンソン痴呆症とも診断しえなかった症例で、経過中有意な運動麻痺がなかったにもかかわらず、Bunina小体が認められた2例の下位運動神経細胞を形態的に検討した。 症例1.48歳、男性。気管支肺炎、肺出血にて死亡。Bunina小体は舌下神経核神経細胞に認められた。舌下神経核では神経細胞の脱落は認められなかったが、神経細胞胞体は強く萎縮しており、神経細胞の多くがリポフスチンを充満させていた。粗面小胞体は崩壊し、減少していた。胞体内にリン酸化ニューロフィラメントの蓄積はみられない。しかしスフェロイドがみられた。ユビキチン化封入体および神経原線維変化は、認められない。脊髄前角細胞では、Bunina小体は認められなかった。しかし前角細胞も萎縮し粗面小胞体の著明な融解像が認められた。前角にスフェロイド、グロビュルスが多数みられた。ユビキチン化封入体はみられない。 症例2.50歳、男性。肝硬変とクモ膜下出血により死亡。Bunina小体は脊髄前角細胞に認められた。前角細胞の脱落は認められなかったが、神経細胞胞体は強く萎縮していた。粗面小胞体の崩壊像がみられ、神経細胞の多くがリポフスチンを充満させていた。胞体内にリン酸化ニューロフィラメントの蓄積はみられない。しかし前角にスフェロイド、およびグロビュルスが多数みられた。ユビキチン化封入体および神経原線維変化は、認められない。 考察および結論:本研究における観察で、Bunina小体は、運動麻痺がみられず、下位運動神経細胞脱落のない症例にも生じうることが示された。しかしこれらの症例では、脊髄前角および舌下神経核の神経細胞胞体は強く萎縮しており、粗面小胞体の崩壊像がみられ、神経細胞の多くがリポフスチンを充満させていた。すなわち観察した2例では、Bunina小体は、リン酸化ニューロフィラメントの蓄積やユビキチン化封入体の出現には先行し、または共存せず、しかし胞体の萎縮、粗面小胞体の崩壊、ならびにリポフスチン沈着とは関連して出現することが考えられた。
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