研究概要 |
海馬におけるGABAニューロンは、種々の化学物質によってさらにsubpopulationに分けることができ、それぞれ海馬の機能に大きな意義を持つものと考えられている。本研究では、海馬におけるGABAニューロンの、種々のsubpopulationの分布に関する正確な定量的データを得るために、ランダムに選ばれた部位の共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)像を、stereologyに基づいたoptical disector法によって解析する方法を確立することを目的とした。 マウスの海馬のsepto-temporal軸に沿ってランダムに選んだ部位の50μmビブラトーム切片に2種類のCa結合蛋白に対する免疫蛍光染色とpropidium iodide(PI)染色との三重蛍光染色を施した。XYステージを着けたCLSM(MRC-1000,BioRad)によって、海馬の蛍光染色標本のX、Y各方向に一定距離ずつ移動した各部位で、それぞれ3チャンネルでの連続optical sectionの取り込みを行った。このXYステージのコントロールと画像の取り込みは、Macro Programming Language(MPL)で新たに作成したプログラムによって自動的に行った。これによって得られたPI染色画像を基にしてパーソナル・コンピューター(Macintosh 8100,Apple)上でstereologyに基づいたoptical disector解析を行い、ニューロンをカウントし、さらに、カウントしたニューロンの化学的性質を免疫染色画像によって同定した。これによって各物質を含むニューロンの密度を、海馬の各領域別、層別に推定した。 結果:マウスの海馬におけるparvalbumin(PV)含有細胞の密度は極めて低く、4,000/mm^3を超えなかった。calbindin(CaBP)含有細胞は歯状回のgranulecell layer(GL)とCA1領域のstr. pyramidale(SP)に特に多く、GLではニューロンの約半数を占め、CA1のSPでは約1/4を占め、密度はそれぞれ550,000/mm^3、100,000/mm^3であった。calretinin(CR)含有細胞は歯状回のhilusに特に多く、密度は18,000/mm^3でニューロンの約20%を占めていた。
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