研究課題/領域番号 |
07680826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
西山 慶治 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (10106354)
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研究分担者 |
尾崎 紀之 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40244371)
外崎 敬和 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50155545)
杉浦 康夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50093042)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | α2アドレナリン受容体 / 後根神経節 / 交感神経 / 神経損傷 / 痛覚過敏 / ノルアドレナリン / カプサイシン / α2-アドレナリン受容体 / ニューロトロフィン受容体 / 後根神経節ニューロン / 脊髄後角 / 痛覚上行路 |
研究概要 |
末梢神経損傷後に時としで慢性疼痛が生じることがあり、臨床的にカウザルギー、幻肢痛、反射性交感神経性ジストロフィーなどの病名で知られている。このような疼痛の発症メカニズムには諸説があり、解明を待たれる神経現象の1つである。Sato & Perl (Science,1991)はこの現象を説明する痛覚メカニズムの変化として、後根神経節(DRG)の小型ニューロンから発する無随神経(polymodal C-fiber)が神経損傷後にα2アドレナリン受容体(α2-AR)を介してノルアドレナリンに反応性を生じてくることを電気生理学的に示した。そこで、ラットを用い次の3点について実験研究を行い成果を得た。(1)末梢神経損傷(坐骨神経あるいは脛骨神経の切断、交感神経幹の切除)後に、DRGニューロン(主に小型細胞)がα2-ARのアゴニストであるクロニジンに結合性を増加させた。これは神経損傷、特に交感神経の損傷後に無髄知覚神経を発するDRGニューロンがα2-ARの生成を増加させたことを示す。このことから、神経損傷後の痛みの受容にα2-ARが関与し、その痛みは交感神経との関連において出現あるいは増強されること示唆する。(2)腰部交感神経幹を切除した動物の足底皮下にノルアドレナリンを投与すると、脊髄後角ニューロンの活性化を示すFos蛋白の発現が有意に増加した。この増加は後角表層(特にLanima I、II)に認められることから、痛覚のような侵害刺激にDRGニューロンが感受性を増加させ、DRGニューロンから入力を受ける脊髄後角の2次ニューロンがより多く活性化したものと考えられる。また、C-fiberの刺激薬であるカプサイシンに対しても同様に反応性を増強させた。(3)発現増加したと考えられるα2-ARのサブタイプを決定するために、in situ hybridizationによってmRNAのサブタイプを検索すると、DRGニューロンはα2Cが増加した。また、神経栄養因子の受容体ではtrkCの発現増加が認められた。以上の所見より、痛覚を主体とする知覚神経は交感神経を切除することによって、α2-ARの発現を増加させて感受性を上昇させ、痛覚過敏状態をもたらすことが示唆された。
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