ウシPO蛋白の複数のcDNAを獲得したが、完全長のcDNAを得ることは結果的にできなかった。したがって、既に保有しているラットPO蛋白を用いての実験に変更した。ラットPO cDNAを発現ベクターであるpQE31に組み込み蛋白を発現させた。しかしながら、PO蛋白の発現量は極めて少なくそれは、この蛋白自身の強い疎水性度に起因すると考えられた。したがって、研究計画にそって、制限酵素の切断部位を検索した結果。ラットPO蛋白cDNAにおいてはSau3AIとRes Iの2種類の酵素消化により疎水性ドメインそ欠損させることが可能であった。欠損部位にフレームシフトを生じさせず、さらに親水性アミノ酸を主要構成成分とするような合成遺伝子を設計し組み込んだ。発現される蛋白量は、intact cDNAの場合よりも良好であった。用いたベクターpQE31はN末端側にヒスチジンヘキサマーを導入するため、この領域と高い親和性を有するNi-NTAレジンにより、組換PO蛋白を精製した。この組換え蛋白と、ウシPO蛋白糖鎖との結合性をバイオセンサー(BIAcore)により測定したが、糖鎖-蛋白間に明瞭な結合性を検出するには至らなかった。これは、糖鎖部分の分子量が小さい事に起因すると思われ糖鎖をキャリアーに結合してから測定する等の試みを検討中である。一方、蛋白-蛋白間の結合実験において優位な結合性が見出されたことから、これに関しても注目し検討を加えている。最終的には、同種間での実験が必要であると考えられウシPO蛋白のcDNA獲得実験も続行中である。
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