研究課題/領域番号 |
07680931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河原 剛一 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20125397)
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研究分担者 |
武井 義明 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (40188149)
山内 芳子 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (50230313)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 鶏胚 / 心拍 / リズムゆらぎ / 個体発生 / 神経振動子 / 振動子間相互作用 |
研究概要 |
本研究は、鶏胚における心拍リズムゆらぎの個体発生過程における変化を明らかにすると共に、相互作用を有する分散型非線形振動子群の数理モデルによって、実験的に明らかにされたゆらぎの変化のメカニズムの推定を試みたものである。本研究の成果は次のように纏められる。 (1)孵卵開始後ほぼ10日目頃から鶏胚の心電図を計測することが可能となった。この時期での心拍リズムは極めて規則正しく、顕著なゆらぎはほとんど認められなかった。しかし、孵卵15日頃から心拍リズムにゆらぎが生ずるようになり、17〜18日頃には低周波数帯域のゆらぎが明確に認められた。鶏胚の体動に基づいたアーチファクトは除去されているため、このゆらぎは内因性起源であると推定された。 (2)鶏胚の心拍リズムゆらぎのスペクトル解析によって、孵卵15日頃まではほぼ0.1Hz以下の周波数帯域でスペクトル密度が周波数に依存しない白色様のスペクトル特性を有していたが、17日頃にはそれが1/f様の特性に変化した。また、スペクトル密度が周波数に逆比例するこの1/f特性は、孵化後の雛においても保存されていることが明らかとなった。 (3)心拍ゆらぎの呼吸周波数成分は、孵卵10日頃から12日頃にかけて認められるようになった。呼吸周波数成分は孵卵日数の増加に伴って徐々に増加し、孵卵17日頃に最大となった。 (4)非線形自励振動子をBVP方程式でモデル化し、振動子間相互作用とゆらぎとの関連を解析することから、心拍ゆらぎの個体発生過程における変化のメカニズムを推定した。その結果、振動子間結合が弱い場合にはそれぞれの振動子の発振周期にゆらぎが存在しない場合でもゆらぎが生ずること、および結合の増加によっては相互引き込みによって振動子群は同期した活動を示し、群全体がゆらぎを持たない一つのリミットサイクル振動子とみなせることなどが分かった。 以上の研究成果から、心拍リズムゆらぎの個体発生過程における変化は、心臓の自律神経支配、すなわち交感・副交感神経支配の発生過程を反映したものと推定された。
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