研究概要 |
従来開発してきた植込み型骨格筋刺激装置を基礎に、多点入出力型の骨格筋刺激装置を開発し分散型補助循環システムを実現のための動物実験を行った。研究の中心項目は、筋疲労推定のための加速度センサ入力と刺激出力の制御を相互通信を行いながら実現する装置の作製である。すなわち、心筋表面,大動脈および補助ポーチのまわりにそれぞれ骨格筋を巻きつけ、刺激と同時に筋疲労状態を複数センサにより検出するための装置を構成した。ここでは、1)共振型通信回路の開発,2)入力信号処理フィルタの設計と組込み,3)処理プログラムの追加を行った。 植込み型骨格筋刺激装置の核となる分散刺激制御用回路開発を中心に、通信・制御・入出力の3機能を持つ植込み型装置を作製し動物実験を行う。具体的には、 I.植込み型装置の開発 まず体外から短時間に装置の動作を決定する副プログラムの転送を行うための通信回路を植込み型装置に組込んだ。ここでは、有線による装置とプログラマ間の通信プロトコルならびにモニタプログラムはすでに開発している。しかし、生体内に留置された複数の刺激装置間の相互通信を確実に行うためには、信頼性の高い通信回路を作製しかつ微小電力で動作させる必要がある。そのため、転送周波数と共振回路を安定化・小型化した信号送受信回路を開発した(発表文献1、2、4)。 II.動物実験 開発した装置により動物実験を行った。最初に骨格筋による心補助,大動脈およびポーチの駆動を想定し、骨格筋刺激機能と相互通信機能ならびに複数加速度センサからの入力機能を段階的に雑種成犬による急性実験で確認した。同時に骨格筋の動きをビデオで撮影し、加速度および血圧との関係を動画像解析により把握し、筋疲労推定方法を検討した(文献3)。
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