研究概要 |
(平成7年度) 歯科矯正におけるセファロ画像(患者の頭部X線規格写真)から,治療の指針となる計測点と呼ばれる特徴点の自動抽出を筆者等の提案しているネオファジィニューロンを用いて行った.具体的には,ネオファジィニューロンを2次元に拡張し,特徴点付近の画像の濃淡と特徴点の座標との関連をネオファジィニューロンに直接学習させた.抽出結果は,代表的計測点に対し平均誤差約2mm程度の精度が得られた. (平成8度) ヒトの頭蓋骨は成長発育過程により様々な形態をしているので,セファロ画像も多種多様である.そのため,セファロ画像を統一的に処理するためには,前もってセファロ画像のクラスタリングが必要である.ファジィC-Meansクラスタリング法などを適用し,セファロ画像のクラスタリングを行った.また,計測点を自動抽出する別の方法としてファジィテーンプレートマッチングによる手法も開発した.具体的には,ニューラルネットワークによる大域的探索と,ファジィ類似性測度によるファジィテーンプレートマッチングを組み合わせることにより,代表的計測点を実用的な誤差範囲内で抽出することができた. (平成9年度) 歯科矯正を行う場合,現在の状態だけでなく,将来の顎の成長をも見越した長期的な展望に立つ治療が必要である.そこで,歯科矯正の一助として,現在の計測点の座標から将来の計測点の座標を予測するシステムに付き研究を行い,代表的計測点に対し数ミリの誤差範囲内で予測することができた.また,顎矯正手術により硬組織(骨組織)の計測点を移動させると,それに伴い軟組織(皮膚/筋肉組織)の計測点も移動する.これにより患者の術後の側貌が変化する.そこで,硬組織計測点の移動量から術後の軟組織計測点の移動量をファジィ推論により予測するシステムを考案した.また逆に,患者の希望する側貌を得るための硬組織計測点の移動量を算出するシステムも考案した.
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