研究概要 |
タンパク質分子の構造と機能の関連に着目し、医用生体工学、生体材料学の分野における高機能性分子の設計開発の第一歩として、生体内における構造タンパク質として重要な働きをしているコラーゲン、エラスチンを始めとして、細胞接着活性、抗菌活性等を含めてじつに多様な分子機能を有するタンパク質として、近年そのアミノ酸配列が明らかになるまで中で大きくクローズアップされ始めた周期性タンパク質に着目して研究を遂行し、以下の成果を得た。1)天然由来の周期性タンパク質、コラーゲン、エラスチン、バクテネシン、γ-ゼイン等における反復アミノ酸配列をモデル化した周期性ポリペプチドを対象として、分子力学計算によるコンホ-メション解析を試み、分子機能発現に結び付くと考えられる新しいヘリックス構造を形成することを明かにした。さらに、アミノ酸置換によるヘリックス構造の安定性の変化について検討を加え、構造安定化に対する側鎖原始団の役割を明らかにした。2)理論的に予測した二次構造について,そのモデル周期性ポリペプチドについてのペプチド化学的手法による実験的解析を試みた。このなかで、抗菌活性タンパク質バクテネシンについては、その理論的予測構造であるγ-ヘリックスを支持する分光学的実験結果を得るのに成功した。また,構造解析の困難な非周期タンパク質については,DNA結合タンパク質,および,細胞接着性タンパク質の活性発現に重要な働きをしていると考えられるアミノ酸配列部分について,立体構造と分子機能の関連についての重要な知見を得た。3)また、天然由来の周期性タンパク質を越えた新しい種々の反復アミノ酸配列設計を行い、分子力学計算に基づく構造最適化によるコンホメーション解析を通じてアミノ酸配列と安定な基本骨格構造の対象関係についての有用な知見を得た。
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