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ソクラテスと「意志の弱さ」-初期プラトン哲学におけるソクラテス的主知主義の再検討-

研究課題

研究課題/領域番号 07710001
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 哲学
研究機関北海道大学

研究代表者

中澤 務  北海道大学, 文学部, 助手 (10241283)

研究期間 (年度) 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードソクラテス / プラトン / プロタゴラス / 意志の弱さ / 快楽主義 / 主知主義
研究概要

本研究の目的は、初期対話篇における「意志の弱さ(アクラシア-)」を巡る議論の文脈の再検討を行い、そこにソクラテスの合理主義的な行為理解が含意されているとする従来の解釈を批判することによって、ソクラテス的主知主義に対するこれまでの公式見解に再検討を加え、初期プラトン哲学における道徳的知識と行為の構造に対して新たな光を当てることにあった。
この目的の達成のために、『プロタゴラス』篇を主要なテキストとして、この対話篇における「意志の弱さ」を巡る議論を詳細に分析し直し、従来の解釈の批判的な再検討を行った。この作業によって次のことが確認された。(1)この対話篇において、ソクラテスは「意志の弱さ」という現象を否定してはいない。(2)むしろそれを否定しているするのは、ソクラテスの批判対象であるソフィスト・プロタゴラスの背後に存する立場である。(3)それゆえソクラテスは、快楽主義にコミットしてはいない。(4)結局この議論は、ソフィスト的な知識・行為の成立構造(功利主義的な人間理解)に対する批判として企図されていると考えることができる。
以上によって、『プロタゴラス』篇は、ソフィストの抱く快楽主義的人間観、および、合理主義的人間観に対する批判の書であり、ソクラテスの行為理解は、その批判のいわば背後に求められるべきことが明らかとなった。この新たな知見は、いわゆるソクラテス的な主知主義における信念・欲求・行為の相互連関がこれまで考えられてきたよりも遙かに複雑なものであることを予想させるが、その詳細な検討は今後の研究に譲らなくてはならない。

報告書

(1件)
  • 1995 実績報告書

URL: 

公開日: 1995-04-01   更新日: 2016-04-21  

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