研究課題/領域番号 |
07710047
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
喜多 伸一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (10224940)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 静止図形 / 運動図形 / 立体図形 / ランダムドット / 方位 / 輝度コントラスト / static flow / 視覚探索 |
研究概要 |
本年度は、static flowと呼ばれるフローパターンを用いて、静止図形に対する視覚情報処理を取り扱った。ランダムドット面を平行移動してもとの面に重ねると、移動方向に平行な流れのパターンが見えることが知られている。このパターンを順フローと呼ぶ。これに対し本研究では、平行移動の際に輝度極性を反転し、白と黒が対応するようなパターンを作ると、物理的な移動方向に垂直な方向の流れのパターンが見えるという逆フロー現象を調べた。この現象は、従来は逸話的報告はあるが定量的な研究はなく、本研究が定量的研究の最初のものとなる。本研究でわかったことは、次の(1)から(4)である。(1)逆フロー現象は高密度のランダムドット面のみに見える。(2)順フロー現象も逆フロー現象も臨界移動距離ははぼ等しい。(3)臨界移動距離はドットの個数ではなく視界に依存する。(4)ドットの輝度コントラストを弱くしたり、対応ドット間の輝度コントラストのバランスを狂わせると、順フローは著しく見えづらくなるが、逆フローの見え方の強さはあまり影響を受けない。これらの知見から、静止図形の方位の知覚には、位相に依存し輝度コントラストに対する感受性が強いメカニズムと、位相に依存せず輝度コントラストに対する感受性が弱いメカニズムの二種類のメカニズムが関与することがわかった。さらに、このフローパターンを使って視覚探索の実験を行い、従来の視覚探索の実験を混乱させてきたラテラルマスキングが回避でき、数理モデルとの対応が良くなることを確認した。
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