研究課題/領域番号 |
07710105
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
鹿毛 雅治 慶應義塾大学, 教職課程センター, 専任講師 (80245620)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 内発的動機づけ / 教育観 / 自律性 / 授業分析 / 学習意欲 / 有能感 |
研究概要 |
本研究では、教師の教育観の相違が、授業過程及び児童の学習意欲、態度に及ぼす影響について、主に授業分析を行うことによって検討した。教師の教育観を特定するため、小学校1年生担任の教師20名に質問紙調査を実施し、その結果、児童の自律性を支援しようとする態度を持つ5人(自律性支援H群)と、児童の行動を統制しようとする態度を持つ5人(自律性支援L群)を抽出し、その10学級の教師及び児童を被験者とした。算数の授業を各学級1時間ずつビデオで録画し、トランスクリプトを作成した。同時に、先行研究を参考に分析カテゴリーを作成し、意味単位でトランスクリプトの発言を分類した。また、児童には面接調査を行い、学習意欲、学校に対する態度等を測定した。主な結果は以下の通りである。1)自律性支援H群の授業においては、児童の発言が活発であり、動的な相互交渉過程が多く観察された。2)自律性支援H群の授業では、オープンエンドな発問と答え、その受容といった連鎖的展開が多く観察された。3)自律性支援H群の教師は、授業中児童に対して謝罪の発言をすることが多かった。4)自律性支援H群の授業では、児童自身が学習を評価(正誤判断)することが多かった。5)自律性支援H群の児童の有能感が高かった。以上の本研究の結果は、教師の教育観の相違が、授業過程の質に影響を及ぼし、児童の態度形成や学習成果を規定する可能性を示唆している。今後の課題としては、教師の教育観、授業過程、児童の能力形成の関連を検討するための教育心理学的な理論化と、新たな研究方法の構築が挙げられよう。
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