研究課題/領域番号 |
07710106
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
遠藤 利彦 聖心女子大学, 文学部, 講師 (90242106)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 自己理解 / 多面的自己 / 関係性 / 幼児 / 児童 / 個別面接 |
研究概要 |
自己理解の発達を扱った従来の研究では、暗黙裡に子の一般的な自己に焦点が当てられ、子自身を取り巻く具体的・個別的関係の中における自己への配慮は相対的に欠落していたと言える。本研究は、一般的な他者の視点ではなく特定の具体的他者の視点(誰の目に映る自分なのか)を意識させることによって子の潜在的により豊かな深いレベルの自己理解の諸相を引き出し得ると考え、保育園年長児32名、小学校2年生37名、4年生35名を対象に個別面接を実施した。その結果、以下のようなことが明らかとなった。(1)加齢に伴い、身体的属性に関する自己描出は減少し、対人関係や能力の点から自己描出する傾向が強まる。(2)保育園年長児は、誰から見た自己についても、一般的にさほど自己描出の内容を変えないが、加齢とともに、友達から見た自己については対人関係的側面を強調し、一方、母や先生から見た自己については、対人関係的側面とともに行動評価の側面(自分の行動の是非、能力等)を強調するようになる。また加齢とともに全般的に自己描出のバリエーションが豊かになる(様々な観点から自ら語り得るようになる)。子は加齢とともにそれぞれの関係の中で他者の目に、自分がどのように映じているかを敏感に察知し、可変的・多面的な自己表象を構築するに到ると推察される。(3)加齢とともに自己描出の絶対量、バリエーション、描象度などに顕著な性差が認められるようになる(特に小学校4年生において、女児が男児の自己描出を質量ともに大幅に上回った)。(4)幼児は自己を一貫して肯定的に捉えることが多いが、2年生になると肯定・否定両側面から自己描出する子の割合が格段に増え、さらに4年生になると両側面描出の子に加えて一貫否定の子の比率も大きくなる。(5)加齢に伴い、関係特異的に自己描出する傾向が強まる一方で、不変的自己(“ふつうの自分"や“いつも変わらない自分")を強調する傾向が生じてくる。
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