研究課題/領域番号 |
07710114
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
矢守 克也 奈良大学, 社会学部, 助教授 (80231679)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 自然災害 / 防災意識 / 災害イメージ / 阪神・淡路大震災 / 風化 / 内容分析 |
研究概要 |
本研究では、人々が災害・事故・事件に対して抱くイメージを、イメージの形成・変容・定着過程の視点から検討した。研究計画申請後に勃発した「阪神・淡路大震災」「地下鉄サリン事件」を具体的な事例としてとりあげた。とりわけ、前者については、研究代表者自身が被災したこともあって、複数のボランティア団体においてボランティア活動に実際に従事しながら参与観察的な研究も併せて実施した。主たる研究成果は以下の通りである。 1.災害・事故・事件に対するイメージにおける「相互干渉現象」に関する分析:阪神・淡路大震災に関する新聞報道を災害後、半年間追跡した。その結果、震災の約2カ月後の地下鉄サリン事件後、震災報道量が「風化予測線」(矢守(1996a)に詳しく報告されている)を大きく下まわることが明らかとなった。このことは、人々にとっては、地震災害と毒物を使用した人為事件は、必ずしも異質な存在ではなく、そこに一種の近似性(代替性)が存在すること、言い換えれば、これらの災害・事件が、矢守(1995)の言う〈現相的存在〉であることを示唆している。 2.災害・事故・事件に対する記憶(イメージ)の風化に関する研究:従来の常識的風化論を発展させ、「内の風化」「外の風化」の概念を導入し、被災地の「内」で生活する被災者、ボランティアと、被災地の「外」から災害を見つめる人々との風化のあり方(の違い)を参与観察研究によって検討した。特に重要な点として、「内」、すなわち、被災地において、現実に多くの生命が奪われ、事物が破壊されたという圧倒的な世界現相(〈現相的イメージ〉)に拘泥し、これを直線的に体験していない者は「所詮、何もわからない」という感情が支配的になるとき、被災地におけるさまざまな教訓、ノウハウが言語的メッセージ(〈概念的イメージ〉とならず、いっそう風化が促進されてしまう危険性を指摘した(矢守,1996b)。
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