研究概要 |
本研究は、1995年に実査が行われた第5回「社会階層と社会移動に関する全国調査(略称SSM調査)」(文部省評研費・特別推進領域)と、将来に実施されることになるであろう中国本土での同種の調査とを比較するにあたって、重要となるであろうポイントを絞り込むことを課題としている。そのために、一方では日本のSSM調査に参加しつつ、他方で中国の研究者との連絡を密にしながら、彼らから基本的な情報を得ることとを心がけてきた。その結果、1993年に黒龍江省ハルピン市で実施された職業威信調査の素データ(サンプル数1,100)と、1985年に天津市で実施された世帯調査の素データ(サンプル数1,000)を入手することに成功し、その基本的な形状を理解することができた。 SSM調査のデータとの比較については、現在進行中のデータクリーニングを待たなければならないが、職業威信と社会移動の双方で比較可能なワ-ディングがなされていることや、中国のデータがすでに統計ソフトによる解析が可能であることを考えると、その成果もそう遠くない時点で発表することができるであろう。 なお申請者は、来年度からの重点領域研究「現代中国の構造変動」のメンバーとなっているため、現在の作業を今後継続してゆくことができるし、実際に現地でサーベイを行う予定もある。また、1992年に行われたアジアNIEsの中産階級調査の素データもまもなく公開されるため、単なる日中比較から、広く東アジアの比較研究へ拡がる可能性も高い。事実、中産階級調査の主査(蕭新煌・国立台湾大学教授)とは連絡を取り、中国調査との接点を模索し続けているところである。
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