今年度の本研究の目的は次の2点であった。第一に北海道における外国人女性宣教師の活動の発掘調査、第二に、阪神・淡路大震災において被災しながらも、救済活動を行っているドイツ人女性宣教師とその周辺の人々の活動についての調査である。 まず第一の目的にそって北海道の歴史に関する資料を収集した。「お雇い外国人」として宣教師を含めた多くの外国人が北海道の開拓に尽力した、という大きな歴史の流れをつかんだ。その中で女性宣教師の活動内容および社会福祉分野で活躍した女性の活動について分析した。その結果、女性宣教師は北海道において女子教育分野で活躍し、いくつかの学校を残したこと、また、孤児、病者、盲聾唖者、乳幼児などのいわゆる「弱者」に対する救済活動を先駆的に行っていたことが明らかになった。これらの事実に基づき、函館(スコラスチカ、オリエ、デカルソン、バ-ド)、北見(ピアソン)、小樽(ペイン、マチルド)、札幌市内(スミス、クサヴェーラレ-メ)等で遺跡を訪ね調査した。これらの暫定的な結果は、1995年秋の「日本社会福祉学会第43回大会」にて報告した。 第二の目的のための調査は1回行った。活動の拠点であった「母の家」が崩壊し、その後片付けと近隣の人々への援助活動を、仮住まいのアパートで行っている現状を聞き取り調査した。さらに、大阪のドヤ街である釜ケ崎において活動をしていたドイツ人女性宣教師ストローム氏とも面談の機会を持ち、聞き取り調査を行った。 このように、今年度の研究によって、外国人女性宣教師たちの活動に関して、聞き取り調査や訪問調査を通して、第一次資料を収集することができた。これらの資料をもとにして、さらにその思想性や影響力について分析し、今後、論文にまとめる。
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