研究課題/領域番号 |
07710218
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小池 淳一 弘前大学, 人文学部, 助教授 (60241452)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 陰陽道 / 大雑書 / トキ双紙 / 読書 / 運気論 |
研究概要 |
本研究は暦の普及の様相を大雑書類をはじめとする近世期に刊行された陰陽道書の受容に着目して検討するものであった。特に自然暦に深く関わる民俗儀礼の執行に際して干支をはじめとする暦の知識がどのように取り入れられ、影響を及ぼしているかについて、北奥羽と南西諸島を中心に民俗調査及び資料の収集、検討に努めた。その成果は主として次の5つに集約できる。(1)初期大雑書の内容検討と民俗事象との関連の検討。暦の知識の浸透には簡略に暦注を記した大雑書の刊行、流通、受容による力が大きいが、その様態を把握するためには大雑書の本来の姿を復元し、把握しなければならない。そのために最古の刊本である寛永9年版の『大ざつしよ』の内容を検討し、民俗資料との関連を考察した。(2)大雑書類がどのように読まれてきたかについて、民俗的な暦との関連を配慮した検討。具体的には沖縄先島地方の2つの文書に注目した。ひとつは石垣島登野城村で我那覇孫者によって記された『大雑書廣集』であり、これは日本の大雑書と中国福建省で印行された『玉匣記』とを生活風土に合わせながら編集した地方大雑書と位置づけることができる。もうひとつは宮古島のトキ双紙であり、これは従来、中世陰陽道の亀鑑『金烏玉兎集』の影響下に成立したとされてきたが、大雑書の影響も考えられることが判明した。(3)暦法が民俗化した事例の調査。生まれ年によって守護仏が決定されるというイチダイ様信仰に関する調査で、当該信仰が青森県南津軽地方、岩手県北地方、沖縄県本島部に展開していることを確認した。(4)大雑書の利用状況の調査。岐阜県羽島市の花村家に伝来した大雑書の書き込みや保存の状態から検討を進めた。(5)陰陽道以外の経路による暦の普及を考えるために運気論に注目しその立場の『年中運気指南』の内容を検討してその意義を考察した。既に(1)、(2)、(5)は成果の一部を発表し、その他についても発表準備中である。
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