日本近代史研究にとって必須の研究課題である明治太政官制の解明は、従来必らずしも充分になされてこなかった。本研究では、そのような研究の現状を打破するため、主として太政官の残した公文書に着目し、史料論的アプローチからの究明を行った。具体的には、゙青表紙文書″と命名した太政官中枢の文書群に初めて注目し、形態的観点から分析を加え、また太政官期の閣議書について、様式的な変遷を辿る研究をまとめることができた。これらは、明治太政官制の全体構造に迫るための基礎的研究であるが、本研究によって着実にその端緒を得ることができたと考えている。さらに、今回は残念ながら具体的成果を挙げられなかった「官符原案」をはじめ、新たな課題を発見することができた。
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