ドイツ新聞学の成立史の研究として、マックス・ヴェーバーと新聞学研究者アドルフ・コッホのハイデルベルク大学における紛争を取り上げて検討した。アドルフ・コッホの論文からは、成立期における新聞学とジャーナリズムの未分化状態を窺い知ることができる。ヴェーバーとコッホの対立は、一般にはヴェーバー婦人への誹謗をめぐるスキャンダルが原因とされるが、社会科学として新聞研究がどうあるべきか、という学問的対立も背景に存在したことは明らかなように思える。当時の新聞資料と新聞学研究を使って、上記の論旨を跡づけるため、1996年夏に短期間ドイツで資料集めをする予定である。その後、雑誌に掲載したい。なお、ドイツ新聞学のわが国への影響について、論文「総力戦体制と思想戦の言説空間」を山之内靖他編『総力戦と現代化』(柏書房1995年)に執筆した。
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