研究概要 |
1,宮城県南部の、阿武隈川下流域の柴田町・村田町・蔵王町・大河原町・角田市・丸森町・白石市の7市町の範囲を調査対象とし、古墳の分布調査を行った。この地域の133ケ所の古墳(群)・横穴墓(群)について、資料カードを作成し、既知のデータを収集・整理するとともに、実態の不明確な古墳については、実地踏査を行い、墳丘形態や規模などのデータを収集した。既に破壊され、実態不明な古墳については、過去の記録類を探索し、その復元を試みた。 2,この地域に12基確認されている前方後円墳の中で、唯一未調査であった古峯神社古墳の測量調査を行い、主軸長39mの前方後円墳であることを確認し、墳丘形態の特徴を把握した。この調査の際、一連の同じ尾根上において、主軸長約60mの前方後円墳を新たに発見し、略測を行った。 3,以前に乱掘などで出土した遺物については、村田町下清水横穴墓群・丸森町第町古墳群などの資料を実測・図化し、特徴を把握するとともに、墳墓の築造年代をこれらの資料から検討した。踏査の過程で収集した採集遺物についても、同様に資料化を行い、築造年代の検討を行った。既に調査された古墳の出土遺物については、それらの再検討を進めた。 4,これらの調査によって得られたデータを整理し、周辺地域の関連する資料し比較検討を行い、この地域の古墳編年を作成した。これによって、地形的に区分される一定地域内の古墳の変遷の動態を、時期ごとの各小地域間の動向を踏まえた形で明らかにした。
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