研究課題/領域番号 |
07710304
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小野 恭靖 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (50194600)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 小歌 / 和歌 / 狂歌 / 連歌 / 謡曲 / 狂言 / お伽草子 / 芸能 |
研究概要 |
室町時代後期の流行歌謡であった小歌を基軸に据え、その詞章における周辺文芸の摂取、並びに小歌詞章の周辺文芸に及ぼした影響について具体的に考察を重ねた。室町時代は文学史上稀に見る多くの文芸ジャンルの並立した時代であり、小歌と接点を有する文芸も、和歌・連歌・能(謡曲)・狂言・お伽草子・狂歌・誹諧連歌・説話・軍記・説経節・幸若舞曲等と多岐にわたる。これらの資料のうちの多くを、当該年度の科学研究費補助金によって購入した。そして、それらを通覧し密接な共通表現を把捉した。結果として、共通表現のうち主として伝統に支えられた雅の文芸に属するもの-和歌・連歌・能(謡曲)等-は同時代の小歌に多くの影響を与え、逆に新進の俗の文芸に属するもの-狂言・狂歌・誹諧連歌等-は室町小歌(中世小歌とも称される)から多くの影響を受けたことを指摘した。その成果は平成7年7月の和歌文学会例会(於、共立女子大学)の席上で口頭発表を行うとともに、その概要を『和歌文学研究』第七十一号(平成7年12月)誌上に掲載した。また、その視点によってさらに広範な考察を行い、『和歌文学論集』第十巻(平成8年3月、風間書房刊)に「和歌と歌謡-中世小歌と周辺文芸-」と題して論考を発表した。なお、かつてこの研究視点の萌芽ともいうべき「『閑吟集』と同時代文芸-三条西実隆作品との関連をめぐって-」(『梁塵』第三号<昭和60年12月>)、「『閑吟集』と同時代文芸-柴屋軒宗長作品との関連をめぐって-」(『梁塵』第四号<昭和61年12月>)の二論考を発表したが、その補訂も行い、平成8年2月に刊行した『中世歌謡の文学的研究』(笠間所院刊)の中に収録できた。さらに、それ以前には『日本の歌謡』(平成7年4月、双文社出版刊)を編集し、室町時代後期の歌謡と周辺文芸との密接なかかわりの諸相を、具体的な歌謡注釈という形式で捉えることもできた。
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