研究計画に従って、資料の収集、新資料の発掘、集中、その分析を行うと同時に、研究のとりまとめを中心として、作業をすすめた。(1)「北京の春」中国民主化運動の基本的資料『大陸地下刊行物彙編』等関係文献の購入、複写及び整理を行った。(2)「今天」詩人に関する重要資料「文学交流資料」「詩探索」等の複写、整理を行った。(3)「星星」の芸術家に関する重要資料「美術」「美術通〓」「文芸状況」等の複写、整理を行った。(4)「今天」の成員、北島・芒克・江〓ら、「星星」の成員、黄鋭王克平ら、馬徳升ら個人に関する図書・関係文献を購入した。(5)文革時期の希少な外国文学作品 通称「黄皮書」等を複写、整理した。(6)西洋モダニズム・ロシア・アヴァンギャルド等に関する図書・関係文献を購入した。以上の分限を東洋文庫・東京大学東洋文化研究所、大阪外語大学、等研究期間に赴期、調査、収集を行った。 以上により、北京を中心としたポスト文革期の文学・芸術運動の展開に於ける「今天」「星星」の果たした役割の一端が明らかとなった。しかしあくまでも「一端」が明らかとなったという状況にとどまっており、全体的には不十分と言わざるを得ない。最近明らかとなった魏京生ら民主運動家と、「星星」の中心人物黄鋭との関係、30年代シュルレアリズム運動の発掘等、多くの課題がこの研究を通して明確化してきた。文革から現在に至研究という点から、常に政治的配慮が働き、関係文献の収集が困難であり、また真偽も問われる。だがこういった状況の下、資料の発掘、整理こそが本研究の重要な柱の一つとなるべきである。であるからこそ、今後も作業を継続し、細部にわたる事実を検討し、整理していくことが重要である。すでに発表した論文は別の項にまとめたが、以上の資料の分析については、何らかの形で公表を計っていきたい。
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