研究課題/領域番号 |
07710361
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
太田 一郎 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (60203783)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 社会言語学 / 変異理論 / 言語変化 / コード切り換え / 共通語化 / 方言 / 世代差 |
研究概要 |
本研究の目的は、屋久町尾之間集落での場面による方言と共通語の切り換えを世代差の面から眺めることで、コードの切り換えと言語変化の関係を探ることであった。この目的の達成のために、本年度は3回(合計25日間)尾之間でフィールドワークを行い、合計31名の話者から言語データを収集した。その内訳は若年層13名、中年層11名、老年層5名そして中学生2名(女子)である。(老年層の数が少ないのは、以前に数名の調査をすませているからである。)調査は質問票を用いた個人面接と地元話者のフィールドワーカーとの談話または同席者との談話などを収録したので、あらたまったスタイルとくだけたスタイルの両方のデータが十分に収集できた。データは現在処理中で、変異が生じる音声環境等の確認に時間がかかっているので、最終的な結論が出るまでにはまだ少々時間がかかりそうである。しかし、いくつかの音声特徴は場面のちがいで生じる確率に明らかに差があることが分かった。たとえばある話者の発話では、あらたまったスタイルの場合はガ行鼻濁音[η]が約22%、破裂音[η]が78%なのに、くだけたスタイルでは[η]が約69%[g]が31%になる。また、[r]の脱落や[d]→[r]への交替もくだけたスタイルになるとかなり頻度が増す。年代別に見ると、予想されるとおり60代以上の話者はあらたまったスタイルでも方言特徴が残る者が多いが、50代以下になるとうまくコード切り換えができるようである。興味深いのが[η]で、中年話者の中にはあらたまったスタイルでも使用する者が多く、また若年話者の発話にもごくまれにだが現れることがあり、意識の面では方言的な音だと気づいていないようである。また、社会調査のアンケートは、言語行動に違いがあっても全く同じ答えが得られている場合が多く、あまりうまくいかなかったようである。別の設問を考え、もう一度調査する必要がある。
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