研究課題/領域番号 |
07710363
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 常葉学園短期大学 |
研究代表者 |
寺尾 康 常葉学園短期大学, その他部局等, 助教授 (70197789)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 言い誤り / 文産出 / 助詞 / 言語習得 / 文法発達 |
研究概要 |
本研究は次の二つの目標を掲げて行われた。一つは幼児と成人の助詞の言い誤りを中心とする文法的に逸脱した発話資料のデータベース化を進めること。もう一つは、得られた資料をもとに、発話における文法的符号化の一側面を発達的・記述的な観点から明らかにする、という目標であった。 前者については、既に世界中で利用されているアメリカのCHILDESと呼ばれる発話資料データベースに、その日本語版を作って参加するという計画を大嶋百合子マッギル大学(カナダ)教授等とともに進め、筆者の言い誤りをデータベース化(現在フロッピィディスク2枚)するという形で達成されつつある。助成金で購入したビデオに収めた幼児の記録をモニターする装置とコンピュータ及びソフトはこうしたデータベースのマルチメディア化に役立っている。 後者の目標については、成人と幼児の助詞の言い誤りを比較・分析した結果、次のようなことが明らかになった。まず、文法理論研究からの注目度も高い幼児の助詞の過剰生成の問題では、しばしば指摘されるノだけではなく、ガの過剰生成も注目されること。そして、この二つの助詞は理論的にみても、機能範疇が関わる助詞として分類されるべき特徴をもつこと。またガの過剰使用に関しては、成人も幼児と同様の傾向を示すこと。これには項構造や格付与といった形式的アプローチの他に、談話的な観点から潜在する名詞句に付与されるはずの助詞がからんでいると考えられるので機能的なアプローチも必要であること。しばしば、「言い誤りは失文法患者の発話と健常者の発話の中間的な特徴を持つ」といった図式化が行われることがあるが、その中間性を示す基準や手順は明らかなものでなく、今後の重要な課題となりうること。 こうした成果の一部は既に認知科学会冬のシンポジウムの話題提供講演と論文集、および研究紀要等で発表済みであるが、8年度にかけて国際音声処理会議(投稿中)、言語学会機関誌『言語研究』等への投稿(準備中)で公にされる予定である。
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