フランス絶対王制の統治構造の特質は、国王直轄型の新型官僚体体と、旧来型官僚体系とが、相互補完的に機能していたことである。このことは、地方行政の分野では、実態の解明が進んでいるが、中央行政については未だ不十分である。中央行政においては、新型体型の中心的機関である国王顧問会議と、旧来型体系の中心的機関である高等法院との関係のあり方について、多くの問題点が含まれているが、とりわけ17世紀後半の時期には、両者の機能の分担と官僚補充との点から、絶対王制の官僚制の特色が明らかになる。第一に、高等法院の権限は司法権限へと限定され、国王顧問会議によって高等法院に対して一定のコントロールがなされるようになったこと-少なくとも政策レベルではなされることが意図されていたこと、である。とはいえ、ここで、顧問会議の活動をすべて「行政的」の枠組で捉えることはできず、行政と司法の分離と強調しすぎることには気を付けねばならない。第二に、高等法院官僚が顧問会議を筆頭とする新型官僚体系に任用されているという事実は国王権力が、法服貴族という特定の家産官僚を委任官原理を用いて直轄官僚に登用し集権的行政に奉仕させた、ということである。ここに、絶対王制が伝統的諸特権を補完的に機能させて統治しようとした意図が現れていると言える。
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