1.都市計画法、建築基準法等による私権制限を類型化し、その時質を明らかにした。 2.従来、損失補償の要否に関しては、行政法学上、いわゆる特別犠牲説が通説・判例となってきた。これについては、「犠牲」の程度がある一線を超えるとすべての損失が私人に対して補償されるにも拘らず、その程度に達しないものについては補償がゼロとなるという不公平が存在することを明らかにした。 3.このような難点を整合的に解決する新たな法システムとしてキャピタルゲイン100%課税連動型全損失補償システムを提示した。具体的には、私権制限のすべてについていったん全額補償する代わりに、キャピタルゲインを課税により吸収し、実質的に土地取得価格を超える分を実質的に公有化することとすれば、公平かつ土地の有効利用にも資することとなる。 4.本理論は、伝統的解釈法学の方法の一部を批判するとともに、法政策設計論の一端をも提起するものである。
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