研究課題/領域番号 |
07720033
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
野澤 正充 立教大学, 法学部, 助教授 (80237841)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 契約の相対効 / 契約グループの理論 / 債権譲渡 / 契約当事者の地位の移転 / 直接訴権 / 連鎖契約 |
研究概要 |
本研究の目的は、次の3つの視点から、「契約の第三者に対する効力」を検討することにあった。すなわち、第1に、これまでの研究の延長として、「契約当事者の地位の移転」に関する総論的な研究を進めるとともに、個別契約類型ごとにその移転の可否を検討する。また第2に、沿革的な検討として、フランスにおける債権譲渡の歴史を探究する。そして第3に、現代的な問題として、近時のフランスにおいて議論されている契約グループ(groupe de contrats)の理論を考察する、というものである。 このうち、今年度は、主として第3点の契約グループの理論の研究を行った。すなわち、近時のフランスでは、経済目的および対象を同じくし、相互に依存する連鎖契約を全体的に考察して、その連鎖の両端に位置する者に契約法上の直接訴権を認める理論が有力に主張されている。そして、破棄院第1民事部も、1988年3月8日判決および同年6月21日判決において、かかる理論を承認するに至った。しかし、破棄院第3民事部は、契約の相対的効力の原則を根拠に、かかる契約グループの理論を一貫して否定したため、第1民事部と第3民事部が真っ向から対立した。そこで、1991年7月12日に、破棄院は全部会を開き、契約グループの理論を否定することによりその判断の統一を図った。 したがって、「契約の第三者に対する効力」の問題に関するフランスの現時点での理論状況は、次のようにまとめることができよう。すなわち、前主の契約上の債権がそれと密接にかかわる財産とともに特定承継人に移転することは認められるが、より一般的に、連鎖契約の両端の当事者間に契約上の直接訴権を認めることは否定される。そして、この2つの解決が、いかに相互に矛盾せずに併存するかを検討することが、今後の課題である。
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