mブランドをn小売店が販売し、n小売店とmブランドはそれぞれにいくらかの消費者に対して他ブランド、他店より優越的な競争条件を持つという(独占的競争)のケースは、理論分析では複雑すぎて解くことに成功していない。このケースについて集中的な分析を行った。 特定の安売り店が特定の安売りブランドを集中的にロスリーダーとして安売りするケースは、現実によく観察される。しかし今回の分析で試した定式化では比較的固定客の少ない店が安売り店となることまでは観察できたが、その小売店は全ブランドを安売りするのが常であった。仕入れ価格の差や数量割引を導入しても結論は変わらなかった。ロス・リーディングなど個店内におけるブランド間競争の定式化にはなお改善の必要がある。 いくつかのケースでは、ブランド数の増大は価格競争の利益を小さくするために平均価格をかえって上昇させた。ブランド間競争とブランド内競争のメカニズムの差異を今一歩踏み込んで分析する必要がある。
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