研究概要 |
本研究は、戦間期の中国国内交易を数量的・その質的特質の両面にわたって考察することを、目的とするものであった。そのために、作業は統計整理と文献的資料整理を行った。それぞれの概略は以下のとおりである。 1,統計整理作業 まず中国海関(税関)統計について、港別貿易額・主要製品の流通額そして関税徴収額など関連する事項の数値を、データーベースソフトに入力した。また従来ほとんど知られていなかった香港の貿易統計についても、イギリスの公文書から統計を検索し、同じくデータ入力を行った。さらに日本側の経済調査報告書を利用して、以上の統計を補い得る情報を収集することに努めた。 2.文献資料整理 まず科学研究費を利用したものとして、英文による中国経済雑誌の収集を行った。また中国の文献として、当該期の中国経済雑誌の記事について収集整理を行った。さらに日本語文献については、国内各地の図書館において検索・利用を行った。 以上のような作業の結果、当該期の中国国内の地域別貿易額の増加額・その差異について数量的な知見を得た。またこれまで知られていなかった香港の貿易状況について、統計的な展望を得られたことは成果と考える。その一方で、文献的資料を利用した分析については、さらに作業をすすめる必要を感じている。今後は今回の数量的把握をふまえて、中国交易の質について検討を続けて行きたい。
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