研究課題/領域番号 |
07730052
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
家森 信善 名古屋大学, 経済学部, 講師 (80220515)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 金融の国際化 / 金融機関の国際化 / 信託銀行 / イベント・スタディ / 新規参入 / 規制緩和 |
研究概要 |
1980年代にわが国の金融市場の国際化は急速に進み、国際化がわが国の金融システムに与えた影響は大変大きかったと一般に信じられている。しかしながら、わが国金融市場や金融機関経営に国際化がどのような影響をあたえたかを数量的にとらえた研究はこれまでのところほとんどない。そこで、国際化の進展の中でも代表的な事例であった1985年の信託業務への外国銀行の参入を分析対象に選び、この信託業務への対外開放の決定がわが国の信託銀行の経営へどのような影響を与えたのかをイベント・スタディと呼ばれる分析手法によって計測した。その際、わが国におけるイベント・スタディの新規制を考慮して、イベント.スタディという分析手法について詳細なサーベイを行った上で、金融規制に関して適用した先行研究を参考にして、実証研究を行った。その実証結果によれば、米国からの信託銀行業務の対外開放要求が本格的であり数ヶ月内に決断を迫られることが知れ渡った1984年2月10日をイベント発生日としたところ、イベントの影響は様々な検定方法のいずれにおいても有意にプラスであった。つまり、信託業務の対外開放はわが国の信託銀行にとって(きわめて大きな)プラスのニュースとして市場では評価されたと判断できる。通常、新規参入が認められると、既存の企業にとってレントが減少するとかんがえられるにもかかわらず、プラスの反応が得られたのである。この実証結果は、わが国の金融の国際化のプロセスが、規制緩和効果を強く持っている可能性を示唆しているのである。 なお金融学会全国大会(1995年10月)、生活経済学会中部部会(1995年11月)、郵政研究所研究会(1995年11月)などで、研究報告を行い、研究の完成度を高めるべく努力した。研究成果については、論文の形でできるだけ早く公刊したいと考えている。
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