国内外で地球環境問題が台頭し、企業はその業種にかかわらず、社会的責任から環境問題への対応が求められている。しかし実際には、企業の環境対応と実際の売上高との関係の不明確化、環境対応コストなどの問題により、どのように対応すべきかについて明確な解答が得られていない状態である。本研究は、日本企業の環境対応とマーケティング戦略について検討を行った。まず、市場を構成する消費者の環境意識やエコロジカル・ニーズなどを把握するために、関連文献の調査を行った。その結果、消費者は漠然とした環境への危機感ももっているものの、具体的な環境保全行動にはつながっていないことが分かった。一方いくつかの企業を調査したところ、多くの企業は環境対応商品の販売や環境基金への寄付などを現地点でかなり積極的に行っていることも判明した。そこで、企業の環境対応を消費者は認知しているのか、それは企業のどのような活動や情報ソースから認知されているのか、また、企業の環境対応イメージは企業のイメージアップや購買行動などに影響を及ばすのか、すなわち、消費者の環境対応イメージの形成要因と消費者行動への効果に焦点をしぼり研究を進めた。実際の主婦を対象にアンケートを実施し、そのデータに基づいて分析した。その結果、実際に企業を認知していても、その企業の環境対応の有無を認知している割合は半数にも満たず、環境への関心度はまだ低いこと、また、企業の環境対応イメージは、企業の具体的な活動よりその企業が属する業界全体の環境対応度と関連性が高いこと、環境対応イメージの企業イメージアップへの貢献は低いことが示された。ただし、洗剤などの商品によっては、商品選択上、品質や価格に次ぐ重要な要因になっており、今後、環境対応が差別化戦略上、重要な要因となる可能性が見いだされた。 以上の結果をもとに、エコロジカルマーケティングの有効性と展開可能性を考察した。
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