研究概要 |
平成7年度においては以下の研究活動を行った. 1.日本株収益率の共通リスク属性に関する分析 東京証券取引所第1部上場企業について,1981年から1993年の株収益率および財務データを用いて実証分析を行った.同研究は裁定価格理論(Arbitrage Pricing Theory: APT)での共通リスクファクター構造を,従来のマクロ変数との関係を分析する接近法ではなく,共通リスクファクターを模倣するようなポートフォリオを構築する方法(Factor Mimicking)により明らかにした.また日本株の収益率に関する新たなファクターモデルを提示するとともに,それを用いて投資パフォーマンスの評価を行うことの妥当性を検討した. 同研究は,文献〔2〕としてまとめて,日本ファイナンス学会大会,Seventh PACAP Finance Conference 等の学会において研究発表を行った. 2.資産価格評価理論に関する分析 先行研究1との関係において,資産価格評価モデル(Capital Asset Pricing Model: CAPM)について日本市場のデータを用いて再検証を行った.ここでは,景気変動と一人当たりの所得の株式市場に与える影響を考慮して従来のCAPMを修正するとともに,1において発見したリスクファクターとこれからの経済変数との関係について分析を行った.同研究は文献〔2〕としてまとめて,APFA Finance Confernce において発表した.この研究に関しては,検討すべき課題がいくつか残されており,現在も研究を継続中である. 〔1〕K.Kubota,H.Takehara,“Common Risk Factors of Tokyo Stock Exchange Firms: In Finding the Mimicking Portfolios," Discussion Paper, Institute of Socio-Economic Planning(1995). 〔2〕R.Jagannathan,K. Kubota, H.Takehara, “CAPM with Human Capital: Evidence from Japan,"(1995)
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