平成6年度までの研究で、正標数完全体上の非特異代数曲線上でのp進局所系のうち、unit-root overconvergent F-isocrustalについては、代数曲線の基本群の有限monodromy表現と対応することが解り、R. Crewの結果と合わせるとそのp進cohomologyの有限性が得られていた。平成7年度の研究ではp進cohomologyの局所的な寄与に関することを中心に研究した。 局所的な場合の結果として、正標数局所体のGalois群の有限monodromy表現に対応するFrobenius構造付きの微分加群(overconvergent ψ-∇-modules)に対して、Robbaの定義したlocal indexを利用してirregularityという量が定義できることを示した。さらに、そのirregularityが対応するGalois表現のSwan導手と一致することを示した。この結果は、"Local Index and Swan conductor"という題の論文にまとめられている。階数が1の微分加群の場合はこれは松田の結果である。 証明のポイントは、微分加群のdirect imageにおいて有理関数で定義されている微分方程式が再び有理関数で表されることで、このとき、Robbaによる双対性が使えて誘導公式が成り立つことである。 大域的な結果として、特別な場合にはunit-root overconvergent F-isocrystal係数のcohomologyのEuler数は局所項がψ-∇-moduleのirregularityで与えられる。これはl進におけるWeil公式の類似である。このことは一般にも成り立つと予想される。
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