研究概要 |
リーマン・ゼータ関数ζ(s)の2乗に関する近似関数等式はHardy-Littlewoodの時代から知られていた重要な近似式である.1983年,本橋はこの近似関数等式の残余項R(s;x)がDirichletの約数問題に現れるΔ(x)と密接な関係があることを指摘し,R(s;x)の漸近公式を導いた。この事実を用いて,その後彼は|ζ(1/2+it)|の2乗平均値公式として,別表現のAtkinson公式を導いた.本研究の目的は,R(s;x)とΔ(x)との密接な関係をさらに深くする意味で,2乗平均値公式やベキ乗平均値公式を考察することにある.第一論文では,真に∫^T_1Δ(x)^2dxと類似的であることを明確に示した2乗平均値公式∫^T_1|R(1/2+it;x)|^2dt=CT^<1/2>+F(T)(F(T)=O(T^<1/4>logT))を導いた.第二論文では,ベキ乗平均値公式∫^T_1|R(1/2+it;x)|^Adt≪T^<1-A/4+ε>(A≦4),1(A>4)を示した.第三論文はF(T)の改良に関するもので,本橋のfull公式とMeurmanの方法から,F(T)=O(log^5T)を導いた.第四論文では関数K(T)(=∫^T_0X(1/2-it)R(1/2+it:x)dt-主要項)の解析的な性質を調べた.第五論文ではζ^2(s)の近似関数等式の非対称型に関する残余項R^*(1/2+it;lx/k)の2乗平均値公式∫^T_2|R^*(1/2+it;lx/k)|^2dt=C_<k,l>T^<1/2>+O((kl)^<3/4>T^<1/4>log^3T)を第一論文で用いた方法に従って示した.最後に,第六論文では,oritical lineをcrtical strip(0≦5≦1)まで拡張することができ,2乗平均値公式∫^T_1|R(σ+it;x)|^2dt=A_σT^<3/2-2σ>+O(T^<1-2σ>log^4T)(0≦σ<1/2),A_<1/2>T^<1/2>+O(log^5T)(σ=1/2),A_σT^<3/2-2σ>+O(1)(1/2<σ<3/4),BlogT+O(1)(σ=3/4),O(1)(3/4<σ≦1)を導いた.さらに,極最近,上述の結果をベキ乗平均値問題に拡張することに成功した.
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