研究概要 |
当研究のテーマは代数多様体のGalois分岐被覆,特にGalois郡が非可換有限群であるのもの効果的な,つまり具体的に実行可能な構成方法を与えることとその方法を用いてできる代数多様体の研究であった.このテーマに関し今年度得られた成果は以下の通りである.これらはすべて論文On dihedral Galois coveringにおいて研究したことや,それ以前の研究をより発展させたものである. 1.論文A remark on Artal´s paperではArtal-Bartoloにより明確に定義されたZariski pairというものに関して研究を行なった.ここで行なわれていることは彼が論文Sur les couples de Zariskiで紹介した例に別証を与えている.手法はdihedral Galois coveringの手法を用いたもので彼の手法とは全く異なっている.この論文はKodai Math. Journalに掲載予定である. 2.dihedral Galois coveringの手法を用いて新しい6次曲線のZariski pairをいくつか構成した.これらは論文Some examples of Zariski pairs arising from certain elliptic K3 surfacesとしてまとめ現在投稿中である.またこれに関しては平成7年8月末に行われた研究集会で講演を行った. 3.さらに2のアイデアを用いれば無限個の系列がえられるということもわかった.これに関しては現在論文を準備中である.このようにZariski pairに関してはZariski以来殆ど研究されていないようであったがここにきて一気に研究が進みつつある. 4.3.の結果を得る時に用いたelliptic surfaceのMordell-Weil群の位置有限の元に関する補題を応用すればP^1上の或る種のsemi-stable elliptic surfaceが存在しないことを証明することにも成功した.これについては論文Impossible configurations of I_n fibers on semi-stable elliptic surfacesとしてまとめた(まだ投稿はしていない).
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