本研究では、Connesによる非可換微分幾何の枠組に基いてAtiyah-Singerの指数定理を捉え直すことを目的とした。特に、葉層束に関して二次特性類が関与する巡回コサイクルを構成すること、およびこのような巡回コサイクルとK-群の元との対合を考察しAtiyah-Singerの指数定理の一般化を導くことに研究の重点をおき、さらに主要な実例に現れるこのような巡回コサイクルに関して、無限次元の等質空間の不変微分型式(例えば1次元球面の微分同相群の等質空間あるいは無限次元グラスマン多様体上のシンプレクティック型式)との関連性を考察した。またK-群や巡回コホモロジー理論とSpectral flowやEta-invariantといった解析的二次不変量と二次特性類が関与する精密化された指数定理に関する考察もおこなった。 本年度における具体的な結果としては、S^1の場合についての主要な二次特性類であるGodbillon-Vey類に対するAtiyah-Singerの指数定理の一般化(これはProceedings of“Geometric Study of Foliation"(1994)に掲載された昨年度の研究結果と前後して密接に関連する)が得られた。これは閉曲面上の葉層S^1束に対するGodbillon-Vey数が、非可換微分幾何における「曲率」と考えられることを示しており、本研究の目的に照らして満足すべきものと思われる。この結果はPacific Jurnal誌に掲載予定である。
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