シンプレックス多様体のイグザクト シンプレクトモロフィズムの不動点の個数についてArnold予想と云うものがある。これをある条件の下に示したのが論文1、3である。論文2では、イグザクトと限らないシンプレクトモロフィズムについて考察した。 Arnoldは、ラグランジュアン部分多様体の交叉についても同様の予想をしているが、さらにシンプレクテイック多様体Mのラグランジュアン部分多様体LがMのプレカンタムS^1-バンドルpのルジャンドリアン部分多様体〓に持ち上がる時、これのコンタクト イソトピーによる変形〓(〓)をMに射影して得られる(一般には自己交叉を持つ)ラグランジュアン部分多様体とLとの交叉についても同様の予想を持っていた。 Floerホモロジーを用いて、これを示す事ができるか?というArnoldの問いに部分的に答えたのが論文4である。方針は、pのシンプレクテイゼイションと呼ばれる多様体Qを考え、そこで〓及び〓(〓)からQのラグランジュアン部分多様体を作り、これらについてのFloerホモロジーを考えることであるが、このままでは、J-ホロモロフィック デイスクの空間のコンパクト性に問題が残るので、Qの一つのエンドをpに同伴するデイスク バンドルに取り替えて考える。この時生じる問題はMaslov-インデックスが2のJ-ホロモロフィック デイスクが現れる事で、この状況では一般にFloerホモロジーは定義されない。ここでは、Floerチェインコンプレックスのバウンダリ-ホモモロフィズムの定義を修正することが必要となる。 一昨年、Seiberg-Witten理論が現れ、4次元トポロジーに大きな影響を与えたが、4次元シンプレテイック多様体について、TaubesはSeiberg-Witten不変量が消えない時に、対応するホモロジークラスの中にJ-ホロモロフィックカーブが存在する事を示した。これは強力な結果である。名古屋大学の太田啓史氏と共にこの定理の応用を考えた。我々の結果は、次ぎの通り 4次元シンプレテイック多様体Mが次ぎのいずれかの条件を満たすとする。 1)スカラー曲率が正のRiemann計量を持つ 2)第1Chernクラスとシンプレテイック形式のウエッジ積の積分値が正である このとき、Mは有理曲面、線織曲面及びそのブロウアップのいずれかである。
|