研究概要 |
多様体上の捩れをもたない接続∇と非退化な計量hが両立するとは、∇hが対称なテンソルとなることである。両立する接続と計量をもつ多様体を統性多様体という。 前年度までの成果をふまえ、統性多様体の幾何について今年度は特に統性多様体のα-共形変形に着目し、次のように研究を推し進めた。 ・通常のリーマン多様体における共形変形と射影変形、および上に述べた統性多様体のα-共形変形を特殊な場合として含む「一般化された共形変形」を定義し、その幾何学的な性質を調べた。特に、この一般化された共形変形によって不変に保たれるテンソルについて調べ、(接続に関して)平坦な統性多様体に変形されるための必要条件を与えた。さらに、この不変テンソルの代数的な特徴付けについて研究した。 ・上に述べた一般化された共形変形は東北大学・松添博氏によっても(1,-1)-共形変形という名で独立に研究されており、一般化された共形変形に関して平坦な統性多様体上の、距離関数の二乗によく似た性質をもつ二点関数(幾何的ダイヴァージェンスという)が定められた。我々は松添氏の結果をふまえて、この幾何的ダイヴァージェンスを統性多様体の内的な量を係数とする微分方程式の解として特徴付けることによって、その詳しい性質を調べた。 また以上の研究とは別個に、3次元ユークリッド空間内の負の定曲率曲面の具体的な例について研究し、曲面として実現可能なポアンカレ円盤の領域およびそのチェビシェフ網について詳しく調べた。
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