研究概要 |
本研究では、半線形楕円型偏微分方程式の解の対称性、準線形楕円型偏微分不等式に対するLiouville型定理について考察を行った。 1.2次元単位円盤における半線形楕円型偏微分方程式のDirichlet問題の解の球対称性について研究を行った。解の対称性を導く方法については、Serrin,Gidas-Ni-Nirenbergが用いたmoving plane methodがよく知られている。ここでは、単位円盤にPoincare計量を導入し、Poincare discにおけるmoving plane methodを試みた。それにより、従来の解の対称性に関する結果を拡張することができた。また、moving plane methodとは異なる方法を試みたLazer-Mckennaの結果とも関連する結果が得られた。また、原点で特異性を持つ解についても、対称性を考察することができた。今後は、3次元以上の場合について研究を進めていきたい。 2.ある常微分方程式の初期値問題の解の存在区間とその端点での挙動、偏微分不等式とそれに関連する常微分方程式の比較定理を考察することにより、平均曲率型微分作用素、p-Laplace微分作用素を含むような、広いクラスの準線形楕円型不等式に対してLiouville型の定理を得た。準線形常微分方程式の初期値問題の解の存在区間とその端点での挙動が、その方程式の微分作用素のもつ性質から分類ができ、その分類に応じて、関連する偏微分不等式が全域で解を持ち得たり、持ち得なかったりすることが判明した。ここでの結果は、平均曲率型微分作用素の場合、Cheng-Yauによって得られた結果の容易な証明を与えており、また、p-Laplace微分作用素の場合、全域で解を持つための必要十分条件を与えている。
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