V.Bargmannは次のことを示した。n次元ユークリッド空間R^n上のL^2空間と、ある内積を持ったC^n上の正則関数からなるヒルベルト空間との間に、ユニタリな積分作用素が定義でき、しかもその積分核はエルミート多項式の一種の母関数として捉えられる。 それでは、かってに与えられた直交多項式系について、エルミートの場合と同じことが考えられるだろうか。すなわち、適当なL^2空間および正則関数からなるヒルベルト空間があって、それらの間にユニタリな積分作用素が定義でき、かつその積分核は、もとの直交多項式系の一種の母関数として捉えられるか。 私は以前、等質空間SO(n)/SO(n-1)上の帯球関数系およびU(n)/U(n-1)上の帯球関数系に対し、この疑問が肯定的に解決できることを示した。また前者の結果から、通常のポアソン積分が得られることもわかった。 そこで後者の表現論的意味づけを、当該年度のテーマとしたのであるが、これについて、通常のポアソン積分の一般化とも解釈できる、帯球関数に対する新たな特徴づけ定理を得た。 さらにこれを発展させて、一般の等質空間上の帯球関数系において、先に述べた性質をもつ母関数を与えることと、帯球関数に対する特徴付け定理とはいかなる関係を有するのか。とりわけ、表現論的観点から、どのような解釈ができるか。という点について、いくつかの手がかりも得た。
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