研究概要 |
本研究課題は正定値関数や負定値関数,モーメント関数の応用的側面をもつ.正定値関数やモーメント関数の族と同様に,Schur単調関数やHoeffdingの不等式をみたす関数は,指標半群上のpoint evaluation の線形和からなる線形空間のある2つの凸錐に対応している.Schur単調関数やHoeffdingの不等式をみたす関数を解析するために,これらの凸錐を考察するのは自然なことである.その結果,No/{1}において,正定値関数とモーメント関数に対応する凸錐の差異を見つけただけでなく,完全正定値関数とモーメント関数に対応する凸錐の差異を発見した.論文では,No/{1}が半完全でないということだけでなく,No/{1}上の正定値関数でモーメントでかけない関数の具体例,及び完全正定値関数でモーメントでかけない関数の存在を示した.これらの問題について今まで知られていた例はN^2_2(Friedrich及びBerg and Christensen)であったが,この論文で示した例は,今現在知られている半群の中でもっとも簡単で取り扱いやすい半群である. また,非負有理数半群Q_+の直積半群(Q^k_+,+,id.)において,そのconelike部分半群を考え,その完全性を示した.それにより,このようなconelike半群ではSchur単調増加やHoeffdingの不等式をみたす関数が(orderに関係なく)負定値・完全負定値と同値であることを示した.この結果については現在論文としてまとめる方向にある.
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