研究概要 |
組合せ最適化問題に対する効率的な最適化法の開発は、工学における最重要課題の一つであり、古くから多くの研究が成されている。一方、最近の計算機の性能の向上と廉価化により、従来の短時間で終了する簡単なヒューリスティック解法に対して、ある程度の計算機資源を用いてさらに良好な解を探索するメタ解法が脚光を沿びるようになってきた。代表的なメタ解法としては、進化論または物理現象のアナロジーを持ったHollandの提唱する遺伝的アルゴリズム、KirkpartikらによるSimulated Annealing法、Hopfieldらによるニューラルネット法、および最近脚光を浴びているGloverによって提唱されたTabu Search法があげられる。 本研究では、申請者によって開発されたTabu Searchを拡張したメタ解法であるLSM(Life Span Method)を、NP-困難族の中でも(理論的な意味ではなく,現実的な問題を効率的に解くという意味で)特に難しいと考えられているジョブショップスケジューリング問題,運搬経路問題,二次割当問題に適用し,効率的な実装を得た。特に、運搬経路問題に対する実装は、METRO(MEta Truck Routing Optimizer)と呼ばれる配送計画ツールに組み込まれ、幾つかの企業での配送ルート改善に用いられている。また、Genetic Algorithmの積木仮説を拡張した「階層的積木仮説」に基づく新しいメタ解法(階層的積木法)を構築したことも本研究の重要な成果の一つである。このメタ解法はLSMを基本モジュールとし、Genetic Algorithm,,Simulated Annealing法,GRASP(Greedy Randomized Adaptive Search Procedure)を特殊形として含むものである。
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