研究課題/領域番号 |
07740157
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
数学一般(含確率論・統計数学)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村木 尚文 山口大学, 工学部, 講師 (60229979)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 量子情報理論 / 量子確率論 / エントロピー / Fock空間 / 逆正弦法則 |
研究概要 |
報告者は量子系の情報理論・確率論に関する文献・論文を収集・調査し、この分野の概観を試みた。そして、量子系(=非可換力学系)の力学的エントロピーに関する研究、並びに、量子系(=非可換確率空間)における独立性・極限定理・非可換ブラウン運動に関する研究を行った。計算機実験等も併用して得られた結果が以下のものである。 論文[1]は、量子確率論(=非可換確率論)における独立性の概念、独立性に深く関連する極限定理、並びに、ブラウン運動を論じたものである。非可換系においては、古典確率論(=可換確率論)と異なり、もはや、独立性やブラウン運動は一意的な意味を持たず、多様な「独立性」、多様な「ガウス分布」、多様な「ブラウン運動」が可能である。独立性、極限定理、ブラウン運動等の具体例をいろいろなFock空間上に構成した。「非可換ガウス分布」の実例として標準逆正弦法則を構成した。 論文[2]は、C*代数とその上の自己同型との対で与えられる非可換力学系(C*力学系)に対しKolmogorov-Sinai型のエントロピー(情報生成速度)Sを定義し、更に、そのようなC*力学系をそれぞれ入力系・出力系として持つ量子的チャンネルを通して状態を送った場合の情報伝送速度Iを定義することを試みたものである。これら2つの関数SとIに対しては、Kolmogorov-Sinai型の極限定理が成立することが示された。 論文[3]は、量子確率論(=非可換確率論)におけるド・モアブルーラプラス型の中心極限定理の具体例を構成したものである。単調Fock空間と名付けた「Fock空間」を導入し、生成・消滅作用素を用いて非可換ランダムウォークを構成し、その極限分布として標準逆正弦法則が得られることを示した。
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