現実的な素粒子の統一理論を探究するために、超重力理論および超弦理論に基づいて、その低エネルギーにおける有効理論を求め、実験でチェックできる可能性がある特徴を考察しました。 1.素粒子の標準理論を超える物理の探究は、極めて重要な課題の1つです。有望な試みは、‘超対称性'に基づき‘力の統一化'をめざす超対称性大統一理論です。最近のLEPにおけるゲージ結合定数の精密測定は、超対称性大統一理論を支持しています。また、超対称性の破れの起源は超重力理論を使って説明することができます。よって、高エネルギーの物理として、統一ゲージ群に基づく超重力理論が有力と思われます。そこで、一般的なケーラーポテンシャルを持つ統一ゲージ群に基づく超重力理論を出発点にとり、軽粒子に関する有効理論を求めました。解明された著しい特徴として、一般に電弱スケールの安定性を脅かすような危険な項が現れる恐れがあることとスカラー粒子の質量の中には、D項やF項からの寄与で一般に統一ゲージ対称性を損う項が存在することです。得られた有効理論は、将来の大型加速器実験を通じて、現実的な理論を判別する際の試金石になると期待されます。 2.超弦理論は、重力を含むすべての相互作用を統一する有力候補です。さまざまな理由から弦模型に潜む異常なU(1)対称性が注目されています。そこで、異常なU(1)対称性を持つ弦模型から導かれた超重力理論を出発点にとり、有効理論を導きました。そして、ソフトに超対称性を破るスカラー粒子の質量項の特徴とその現象論的意味合いを調べました。
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