研究課題/領域番号 |
07740238
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 章順 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40250667)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | π-d系一次元有機伝導体 / DCNQI-Cu塩 / 光電子分光 / 金属-絶縁体転移 |
研究概要 |
極低温まで金属相を安定に保つ(DMe-DCNQI)_2Cuと低温で金属-絶縁体転移を示す(MeBr-DCNQI)_2Cuについて電子分光を行ない比較研究した。放射光を用いた価電子帯スペクトルの光子エネルギー依存性より両塩の価電子帯のキャラクターを同定した。Cu2pスペクトルの形状解析より、Cu^<2+>:Cu^+の比が(DMe-DCNQI-Cu)_2Cuに比べて(MeBr-DCNQI)_2Cuの方が大きく、1:2に近いことがわかった。CKVV及びCuLVVオージェスペクトルと価電子スペクトルの自己相関との比較より、両塩共にC、Cuサイトにおける価電子間のクローン相関エネルギーは高く、U(pp)=6.5eV、U(dd)=8.0eVを見いだした。内殻スペクトルとオージェスペクトルの測定結果は、on-siteクーロン相関エネルギー、Cu3dとN2p配位子との間の混成強度及び電荷移動エネルギーは両塩においてほとんど同じであることを示している。以上のことから(MeBr-DCNQI)_2Cuにおける金属-絶縁体転移は、CDWを形成するためのCu^<2+>:Cu^+の比が1:2に近いことにより容易に起こり、その比からそれてくることが(CMe-DCNQI)_2Cuにおける金属相を極低温まで安定にしていることが本研究により明らかになった。 また重水素化OMe-DCNQI-Cu塩におけるリエントランス転移のミクロプロセスを理解するために、in-situ光電子分光測定用の重水素化試料の作製方法を検討し、従来から我々が用いている光電子分光装置に直結させた真空グローブボックス中でneutral重水素化DCNQI分子のアセトニトリル溶液とCuとを直接反応させる方法が有効であることを見いだした。
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